第231章 浮気相手がいる

「仙、何か知っているの？」

鈴木羽の美しい顔が少し暗くなった。

彼女は長年病気に苦しみ、生きているのが死人のようだった。高橋進のような人が外で愛人を囲うのは業界では珍しくなかった。

特に最近は高橋進との喧嘩が増え、彼が変わってしまったと感じていた。以前の彼は家族のことばかり考え、金や権力には無関心だったのに、今の高橋進は明らかに利益を第一に考えていた。

竹内雅子が高橋進のオフィスから出てきた場面を思い出し、鈴木羽の目から光が消えていった。

池村琴子は鈴木羽の冷たい手を握りしめ、黙っていた。

親の問題に子供が口を出すべきではないが、鈴木羽が傷つくのを見たくなかった。しばらく考えて、言葉を選びながら話した：「高橋進さん、最近おしゃれになって、機嫌もいいみたいです。旅行のガイドブックも見ているそうです。」

様々な兆候から、高橋進には外に女がいることは明らかだった。

鈴木羽は池村琴子の手を握り返し、無理に笑って言った：「竹内雅子なの？」

竹内雅子？

池村琴子は心の中で驚いた。

高橋進の不倫相手が竹内雅子だったなんて。

鈴木羽は表面的な冷静さを必死に保ちながら：「この前会社に行った時、雅子が慌てて彼のオフィスから出てくるのを見たの。」

たとえ竹内雅子が進の長年の部下だとしても、その瞬間、女性としての第六感が、二人の関係が普通ではないことを告げていた。

これを聞いて、池村琴子の心は痛く締め付けられた。

この竹内雅子は高橋姉帰と姉妹のような仲だと聞いていたが、まさか彼女の最終目的が高橋進だったとは。

「お母さん、高橋進が東京に行くことを承諾してくれたわ。おじいちゃんとおばあちゃんに会いに行きたいの。」

「いいわ、鈴木伯母に電話して、明日東京に行きましょう。」実家に帰ることを阻止されなくなったと聞いて、鈴木羽の顔にようやく大きな笑顔が浮かんだ。

そんな彼女の明るい笑顔を見て、池村琴子の心が少し動いた。

恋愛の問題は部外者が介入するのは難しい。もし高橋進が本当に不倫をしているなら、鈴木羽が立ち直るには、自分の力しかない。

竹内雅子については、もし彼女が鈴木羽に手を出すようなことがあれば、痛い目に遭わせてやる。

池村琴子は目を伏せ、瞳の中の冷たい光を隠した。