第230章 除名

身なりを整えるのは周りの人のためだけど、高橋進が急に身なりを気にし始めたのは、母のためじゃないはずだ。

鈴木羽のためでもないなら、他の女性のためだろう。

池村琴子は高橋謙一を見つめ、彼の顔に浮かぶ皮肉な表情を見て、心が沈んだ。

高橋謙一でさえ気づいているなら、高橋進は本当に家族を裏切るようなことをしているのだろうか?

彼女は高橋謙一に言った:「東京への切符を買ってきて、私はお母さんに会ってくる。」

もし高橋進が何かしているなら、鈴木羽は必ず気づいているはずだ。

「うん、ちゃんと慰めてあげて。」高橋謙一は頷いた。息子として直接聞くのは難しい事もあるが、妹は同じ女性として、男たちよりもコミュニケーションが取りやすいだろう。「母さんは最近鈴木伯母の家に住んでるから、後でアドレス送るよ。」

鈴木羽が高橋進と喧嘩して以来、彼女は友人の家に引っ越していた。

池村琴子は頷き、高橋進の様子が気になって、すぐに近籐正明にメッセージを送った:高橋進の最近の行動を調べて、どこに行って、誰に会ったか。

近籐正明はすぐに返信してきた:ついにあなたの父親に手を出すんですか?

そのメッセージを見て、池村琴子は唇を固く結んだ。

高橋進が正気を保ち、やりすぎないことを願う。

近籐正明は彼女が返信しないのを見て、さらにメッセージを送ってきた:横山紫がまた組織内であなたを調べています。あのブロガーは高橋姉帰が買収したものですが、横山紫も多分関わっています。彼女は最近余計な事ばかりしています。

池村琴子の唇が艶やかな弧を描いた。

「除名しましょう。今回は、大きく騒ぎましょう。」

横山紫は私の身分が気になるんでしょう?なら、私が一体どんな身分なのか、しっかり見せてあげましょう。

ついに横山紫の除名が決まり、近籐正明も明らかに喜んで、たくさんの笑顔の絵文字を送ってきた。

池村琴子は微笑んだ。

以前は自分の身分を明かしたくなかったから大きな騒ぎは避けていたけど、今は明かさざるを得ない。その代償として横山紫は除名されることになる。

その日、「W」という組織の某ブログが一つの投稿を発表し、瞬く間にトレンド入りした。

このアカウントは新規登録で、たった一つの投稿しかしていなかった。

横山紫の公開除名だった。