松田柔子は見れば見るほど気に入り、手に取って鏡の前に行こうとしたところ、店員は困った様子で店長の方を見た。
「丸山社長、このジュエリーセットを予約した方が外で待っています。」
松田柔子は手に持っていたジュエリーを止め、困惑した表情で丸山社長を見た。
「え?これは予約済みなんですか?」
丸山社長はこのジュエリーセットを注意深く見て、すぐにある大切な顧客の注文だと思い出した。
「可乃子さん、このジュエリーセットは確かに他の方が予約されています。間違いなければ、材料はすべてその方がお持ちになったもので、私たちは加工だけを担当しました。」
まさか他人の持ち込み材料でのオーダーメイドとは。それなら元の持ち主から買うしかない。
松田柔子も怒る様子もなく、店員に尋ねた:「その方は今外にいらっしゃいますか?」