第326章 「W」組織に興味ある?

「そうなんです」小林悦子は少し苦しそうな表情を浮かべた。「今、私の大学で研修を受けていて、先輩にあたるんです。彼女は、お兄さんに近づかないようにと言ってきました」

高橋姉帰はまだ諦めていないようだ。

池村琴子は心の中で冷笑い、小林悦子に笑顔で言った。「彼女の言うことなんて気にしなくていいわ。高橋家では今、高橋敬一以外誰も彼女を妹として認めていないから」

高橋姉帰がまだ東京にいて、しかもA大学で研修を受けているなんて。

これは罰というより、むしろ褒美じゃないか。

高橋姉帰がこんなにも図々しいのも無理はない。彼女がこんなにも利己的な性格になったのは、高橋敬一の責任が大きい。

「本当ですか?」小林悦子の目が輝いた。「それなら安心です。ありがとうございます、お姉さん。今すぐ高橋さんに服を返しに行きます」