彼女が高橋仙の話を持ち出すと、横山紫の表情が明らかに強張った。
その人物は、彼女が触れたくない存在だった。
組織の人々は、その人物について組織内で情報が見つからないと伝えただけだったが、池村琴子がお金を使って組織内で地位を買ったという可能性は否定できなかった。
数億円を出せる人なら、組織内で偽の地位を買って装うことなど難しくはない。
後に池村琴子が動き、鈴木グループが南條家の圧力の中で危機を乗り越えた時、彼女は池村琴子の身分に疑いを抱くようになった。
これは金だけで可能なことなのか?
池村琴子はいったいどれだけの金を使えば一つの企業を救い、さらにあれほどの提携を結べるというのか?
ゴミを拾う老婆に育てられた女が、どこからそんな大金を手に入れたというのか?
横山紫には理解できなかった。