第367章 姿を消す

松田柔子の顔色が青くなったり白くなったりするのを見て、長年生きてきた木村爺さんは、何が起こったのかうっすらと察した。

「どうした?向こうの人が承知しないのか?」

松田柔子は下唇を噛みしめ、軽く首を振った。「相手が音信不通になってしまいました。以前は試合会場で会うと約束していたのに、突然連絡が取れなくなってしまって。」

それどころか、電話さえも通じなくなった。松田柔子は木村爺さんに、相手にブロックされた可能性があることを告げる勇気がなかった。

「もう少し待ってみよう。この大会の主催者が以前私に言っていたが、'W'組織の代表が参加するそうだ。もし連絡が取れないなら、直接彼らの選手を探せばいい。」

松田柔子は頷いた。「それしかないですね。」

相手の選手を探すのは格が下がるように見えるかもしれないが、これも仕方のない方法だった。