「隊長、これからどうしましょう?」
近籐正明も初めてこのような事態に遭遇し、一瞬途方に暮れた。
経験はなくても分かる、鈴木愛のこの状態は、明らかに……
池村琴子は表情を曇らせ、木村誠治を睨みつけた。
木村誠治はその場に立ち尽くし、少し奇妙な表情を浮かべながら、山本正博を一瞥し、拳を握りしめた。
自分の車が山本正博に完全に支配されているなんて、殺されるよりも辛かった。
「彼を警察署へ連れて行きましょう」
池村琴子は木村誠治の獣のような行為を思い出すと、怒りが収まらなかった。
前回の高木阿波子の件でも木村誠治が本気だったと疑っていたが、今日の出来事で、もうこの変態を見逃すつもりはなかった。
通報すると聞いた木村誠治は口角を上げた:「池村さん、私は何もできていませんよ。一体何を恐れているんですか?」
できていない?
池村琴子は一瞬固まり、おびえている鈴木愛を見つめ、冷たい表情を浮かべた:「あなたはこの数年間頭がおかしくなって、まともな教育を受けていないのも当然でしょう。でも、私のいとこにしたことは、れっきとした犯罪です」
彼女は鈴木愛を支え起こし、その肩を叩いた:「いとこ、怖がらないで」
ボディーガードが前に出て、木村誠治を押さえつけた。
鈴木愛は腫れた目をこすりながら頷いた:「彼を警察署に連れて行くの?」
「ええ、車内の監視カメラの映像を証拠として提出します」そう言って、池村琴子は一瞬躊躇した、「いとこ、あなたは彼を刑務所に入れたいですか?」
監視カメラの映像も証拠も、全て鈴木愛の名誉に関わることだった。
木村誠治に懲罰を与えるには、まず鈴木愛の同意が必要だった。
何かを思い出したように、鈴木愛は体を震わせた。
目が覚めた時、彼女の体はほとんど裸で、非常に恥ずかしい姿だった。
もし監視カメラの映像を警察に提出したら、彼女の裸体が皆の目に晒されることになる。
鈴木愛は目を赤くして、死んだような目で木村誠治を睨みつけた。
彼の人格が悪く、いい人間ではないとは思っていたが、まさかここまで恥知らずだとは思わなかった。あんな薬を使うなんて。
ある種の秘密の物については、テレビや他の場所で聞いたことがあるだけで、まさか本当にあるとは思わなかった。
意識を失う前、木村誠治は彼女のことが好きだと言い続けていた。