警察署で、山本正博は署長に来意を説明し、話し合いの後、松田柔子はようやく保釈された。
山本正博を見た松田柔子は、目が真っ赤になった。
彼女は多くの悪事を働いてきたが、今回は本当に冤罪だった。
高橋仙を刺激したことは認める。
でも、彼女を押したことは絶対にない。
この南條夜は、明らかに意図的に彼女に敵対し、完全な私怨だった。
「誠治様、南條夜が私が高橋仙を押したと言い張るんです。妊婦なんて、避けるのが精一杯なのに、どうして押すなんてことをするでしょうか。自殺行為ですよ、そんなこと」松田柔子は豆をこぼすように一気に不満を吐き出した。
他人に誤解されても構わないが、誠治様に誤解されるのは絶対に避けたかった。
山本正博の足が一瞬止まり、松田柔子の心臓が激しく跳ねた。
山本正博は振り返り、冷ややかに彼女を一瞥した。「本当に何もしていないのか?」