第392章 我慢するか？我慢できない

「一体何があったの？私の甥は山本正博のクズ野郎のせいで失ったの？」高橋謙一は感情を抑えきれず、深く息を吸い、心の怒りを抑えた。「安心して、今日あなたが話したことは誰にも言いません。ただ、私たちは真相を知りたいだけです。」

南條夜は考え込み、あの日のことを思い出した。

彼は目を細めて考えてから、唇を開いた。「この件は確かに山本正博と関係があります。」

「当時、琴子は山本正博と喧嘩をしていました。具体的な内容は分かりませんが、彼女が山本正博を追いかけて転んでしまったのを見ました。」

山本正博さえいなければ、池村琴子の子供は助かったかもしれない。

「やっぱり奴か！」高橋謙一は顔を青ざめさせた。「やっぱりそうだ。このクズ野郎、最初は高木朝子と怪しい関係で、妹が離婚したのに、また近づいてきて、今度は私の甥まで失わせた。」

高橋謙一は拳を握りしめ、歯を食いしばって外に飛び出そうとしたが、すぐに高橋忠一に止められた。

「邪魔するな！今すぐ奴に会って問い詰めてやる。妹は奴に尽くしてきたじゃないか。なぜ彼女をこんな目に遭わせる？！」

高橋謙一の怒りに比べ、高橋忠一は冷静だった。声を低くして諭した。「医者が言ったように、仙の胎児は元々不安定で、無理に妊娠を継続すれば子宮に悪影響があったはず。今、子供を失ったのも悪いことばかりではない。」

彼らが母体を優先したということは、この子供との縁がなかったということだ。

二者択一なら、彼らは必ず仙を選ぶ。

子供はまた作れるが、大人が亡くなったら、本当に戻ってこない。

高橋忠一の言葉に高橋謙一は足を止めた。握りしめた拳が震えていた。

彼は分かっていた。全て分かっていた。

子供が流産したということは、胚に欠陥があったということだ。自然淘汰、適者生存、この子供は最初から彼らと会う縁がなかったのだ。

事実はそうだとしても、山本正博を許すことはできない。

甥はどんな形で終わってもいい。ただし、父親によって終わらせられるのだけは許せない。

「仙が目覚めるまで、私たちが先に決めることはしない。」高橋忠一は警告するように高橋謙一を見て、南條夜に頷いた。「南條さんは先ほど、この件は松田柔子と関係があると言っていましたね？」