第381章 私は彼女を知っている

池村琴子の瞳孔が震えた。「二人がどうして……」

「あの時の師匠の件は山崎三郎も知っていて、二人が手を組むのを恐れていた。山崎三郎がその女に会いに行こうとしたが、私の部下に止めさせた」

「山崎三郎は今どこに?」

「東京ホテルにいる」

池村琴子は目を細めた。「連れて行って」

前回の横山紫の件以来、彼女は意図的に山崎三郎を遠ざけ、任務も与えず、実質的に権限を剥奪していた。

山崎三郎も古参だと考え、彼を罰することはせず、面子を立てていた。

しかし山崎三郎はそうは思っていなかった。

松田柔子と木村爺さんの所業を思い出し、池村琴子の表情が冷たくなった。

「行きましょう、山崎三郎とじっくり話し合わないと」

山崎三郎の記憶の中で、彼女はただの若造で、どの面でも自分には及ばなかった。

当初、師匠が組織を彼女に任せた時、山崎三郎は不服で、あらゆる面で彼女を押さえつけようとした。

この三年間、山崎三郎は彼女が不在の時に裏で様々な工作を行い、組織を混乱に陥れていた。

池村琴子が近籐正明の車に乗ろうとした時、突然山本正博のことを思い出した。

彼は彼女が他の男性と一緒にいることを気にしているようだった。たとえそれが近籐正明であっても。

彼女が片足を踏み板に乗せたまま考え込んでいるのを見て、近籐正明は不思議そうに尋ねた。「どうしたの?」

「何でもない、行きましょう」

山本正博自身が身を慎まないのに、彼女に何を求める資格があるのか?

彼女は躊躇なく車に乗り込んだ。その方向を変えた。

「待って、まず桜ガーデンに行きましょう」

鈴木鈴が鈴木愛は大丈夫だと言ったものの、やはり心配だった。

鈴木愛の性格からして、何もなければグループで人に迷惑をかけることはない。特にグループでは。

これは皆に見てもらいたい、そしてグループのメンバーに迎えに来てほしいという意味だった。

鈴木愛が最近警戒していることを思い出し、池村琴子は目を上げて尋ねた。「木村誠治の調査はどうなった?彼は本当に馬鹿だったの?それとも演技?」

「分からない」近籐正明の美しい目には困惑と驚きが浮かんでいた。「彼の以前の診療記録には何の問題もなく、回復後の診療記録も正常で、誰かを買収した形跡もない」