池村琴子の瞳孔が震えた。「二人がどうして……」
「あの時の師匠の件は山崎三郎も知っていて、二人が手を組むのを恐れていた。山崎三郎がその女に会いに行こうとしたが、私の部下に止めさせた」
「山崎三郎は今どこに?」
「東京ホテルにいる」
池村琴子は目を細めた。「連れて行って」
前回の横山紫の件以来、彼女は意図的に山崎三郎を遠ざけ、任務も与えず、実質的に権限を剥奪していた。
山崎三郎も古参だと考え、彼を罰することはせず、面子を立てていた。
しかし山崎三郎はそうは思っていなかった。
松田柔子と木村爺さんの所業を思い出し、池村琴子の表情が冷たくなった。
「行きましょう、山崎三郎とじっくり話し合わないと」
山崎三郎の記憶の中で、彼女はただの若造で、どの面でも自分には及ばなかった。