彼は入るのが恥ずかしかったが、南條夜なら大丈夫だ!
「南條さん……」高橋謙一は熱心に彼を脇に引っ張り、隣の病室を指差した。「山本正博のやつが中にいるんだ」
南條夜の表情が一瞬固まった。
山本正博?
なぜ彼が来たのか?
高橋謙一は彼に近づき、意地悪そうに笑った。「お前が妹のことを好きなら、妹を地獄に落とすのを見過ごせないだろう?」
彼から見れば、今の山本正博は地獄そのものだった。
妹は誰とでも付き合えるが、この厄病神だけは駄目だ。
山本正博と付き合ってから、妹の運気は悪くなる一方だった。
今や子供まで失って、もう互いに借りもないのに、このクズ男がまた仲直りしに来るつもり?
絶対に許さない!
「地獄?」南條夜は穏やかな表情で言った。「山本正博は……そこまでひどくないでしょう?」