第442章 悪人

「山本正博、朝子とはこれまで長年の付き合いがあったのに、彼女が中で死ぬのを見過ごすつもりなのか?」高木財源は深いため息をつき、「彼女は大きな過ちを犯したことは分かっている。でも、どんな大きな過ちでも、法律による制裁を受けるべきで、他人に迫害されるべきではない。忘れないでくれ、君の兄が死ぬ前の遺言は、朝子のことをよく面倒を見てやってくれということだった」

山本正広の話が出て、池村琴子の瞳が沈んだ。彼女は山本正博の方を見た。

家族の前で全てを話してから、彼女は山本正博の性格が変わったことを明確に感じていた。

以前の彼は陰鬱な雰囲気を持ち、何年経っても溶けない氷のようだった。

二人が心を通わせてから、万年不動の氷山がついに緩み始めた。

高木財源が山本正広の話を持ち出すのを聞いて、池村琴子の胸が痛み、指先が微かに震えた。