池村琴子に注意されて、近籐正明と山本正博も周りの人々が彼らを見ていることに気づいた。
いくつかのことは既に公になっており、お互いに人々の噂を恐れてはいなかったが、このように見られるのは誰にとっても居心地が悪かった。
山本正博と近籐正明は目を合わせ、二人は暗黙の了解で2階へと向かった。
二人が上階に上がると、上階にいたスターたちは次々と自分の部屋に戻っていった。
個室で、近籐正明と山本正博は向かい合って座った。
「お互い忙しいので、率直に言わせてもらいます」近籐正明は社長椅子に寄りかかり、指でテーブルを軽く叩いた。「'W'を諦めてください。以前はあなたの父親がいた時は引き継げたかもしれませんが、今はこの組織はあなたのものではありません。無理に争っても恥をかくだけです。早めに諦めた方がいいでしょう」