「もう私たちの邪魔をしないで」
高橋姉帰の言葉に込められた憎しみが高橋敬一の目を刺した。
彼は、この数年間、彼女を地雷や落とし穴から守ってきたことを、高橋姉帰は黙って認めていたと思っていた。
少なくとも、彼女も兄のやり方に慣れていたはずだった。
まさか彼女が彼をずっと恨んでいたとは。
「わかった、止めはしない。でも、この男は必ず私が直接確かめさせてもらう。そうでないと、お前を彼に任せる気にはなれない」
「好きにして」高橋姉帰は説得が無駄だと悟り、もう諦めた。「見終わったら必ず、四姉さんに助けを頼んでね。二兄さん、私が路頭に迷うのを本当に見過ごすつもり?」
「渡辺義広の生活が良くなれば、私の生活も良くなるの。この間、あなたの足手まといになって申し訳なかった。結婚したら、もう二度とあなたを煩わせることはないわ」