第461章 私のことを好きになったなんて言わないで

山口念は分別をわきまえていて、以前は外で遊んでいても男を家に連れ込むことはなかった。

周りの男たちは彼女に好きな人がいることを知っていて、それ以上の関係にはならなかった。しかし今では、どんな若い男でも「資格がない」などと言えるようになった。

「ふん……私に資格がない……」南條夜は冷たい表情で、山口念の顎をつかみ、手で軽く頬を叩いた。「おい、目を覚ませ。言ってみろ、私に資格がないのか?山口念、寝たふりするな……」

若い男は不満そうに彼の手を払いのけた。「あなたには資格がない。私にも資格はないけど、少なくともあなたみたいに誰にでも優しくして、本当に好きな人がいるのに彼女を引っ張り回したりはしない」

「彼女が好きなら、堂々と追いかければいい。中途半端な態度は何なんだ……」

そう言うと、若い男は山口念を抱き上げて部屋に入った。

「バン」という音とともにドアが閉まった。

胸の中の感情を言い表せない。南條夜は怒りで内臓が痛むような気がした。

ダメだ、あの若造と二人きりにはできない。一晩過ごせば、何が起こるかわからない……

南條夜はドアの前に立ち、暗証番号キーを見て、口元に笑みを浮かべた。

山口念が言っていた、暗証番号は彼の誕生日だと。

南條夜は数字を押したが、違っていた。

別の数字を試したが、それも違った。

山口念が暗証番号を変えた?!

南條夜の心が空っぽになり、暗証番号キーを凝視した。

もう試すのを止めた。

山口念は本当に暗証番号を変えた。というより、彼女は彼を自分の人生から消そうとしているのだ。

頭の中に、先ほどの若い男の「誰にでも優しい」という言葉が浮かんだ。

おそらく山口念もそう思っているのだろう。彼は誰にでも優しい男だと。

この数年間、彼は山口念の献身を当たり前のように受け取り、お返しすることを考えもしなかった。彼女が自分のことを好きだと知りながら、ただの友達としか付き合おうとしなかった。

そう考えると、確かにひどい男だ。

もし自分が山口念なら、とっくに友達関係も切っていただろう。

南條夜は立ち上がり、帰ろうとした。

その時、ドアが開き、若い男が出てきて、まっすぐ前を向いたまま立ち去った。

南條夜は足を止め、山口念を見た。