072 花園を貸し切る

加藤恋は小林雪の印象が良く、彼女はとても穏やかな人で、人を皮肉ったり嘲笑したりすることは一度もなく、学科で挨拶を交わした中でも信頼できる同級生の一人だった。

「はい、明日は必ず福田隼人と一緒に行きます」

加藤恋がグループで返信するのを見て、小林雪も急いで言った:「よかった、久しぶりだから、その時はゆっくり話しましょう」

加藤恋が同窓会に参加すると約束したのを見て、福田隼人は注意を促した:「ホテルのオープンだから、何かお祝いの品を用意しないと」

加藤恋もうなずいた:「そうですね、明日の午前中にプレゼントを買って持っていきます」

「うん」福田隼人は続けて:「明日、先に住所を私に送って。午前中にセイソウリキグループに行かなければならないから」

秋山心はこの言葉を聞いて期待に満ちた表情を見せた:「明日の午前中にセイソウリキに行くの?じゃあ、用事が終わったら私を呼んで、一緒に行きましょう。あなたの車に便乗させてもらうってことで。お義姉さんはどうやって行くの?」

加藤恋は笑いながら言った:「私はたぶんタクシーか、バスで行きます。東京に来てまだ車を買ってないの?」

福田隼人は秋山心を見て:「彼にはそんなものは必要ない。グリーンヒルズ団地からセイソウリキまで、バスなら5分だし、歩いても30分で着く」

「どうしてそんなに詳しいの?まさかバスに乗ったことがあるの?」秋山心は好奇心いっぱいの顔で福田隼人を見た:「でも兄さん、ちょっとひどすぎるよ。どうしてお義姉さんに車を用意してあげないの」

福田隼人は唇を引き締めた。今回は本当にこの弟の言うことが的を射ていた。確かに彼はバスに乗ったことはなかったが、追いかけたことはあった。

しかも、加藤恋に車を買ってあげなかったわけではない。でも、どんな車でも数日でタイヤがパンクしたり、突然ブレーキが効かなくなったりした。

それ以来、加藤恋は通勤にバスを利用するようになり、往復4時間もかかっていた。

ある日の大雨の時、加藤恋が彼の車に便乗させてもらおうとしたが、母親に追い返されてしまった。それ以来、加藤恋は車のことについて二度と口にしなくなった。

「東京で車を持ちたくないのか?」秋山心を見て、福田隼人は尋ねた。