071 同窓会

秋山心が入社した夜、福田隼人は特別にホテルを予約し、彼を食事に招待した。その時、加藤恋は驚きを隠せなかった。

「加藤さん、申し訳ありません。昨日は人が多くて、正体を明かすのが恥ずかしかったんです」秋山心は照れくさそうに頭を掻いた。

彼が全く違う姿で目の前に現れたのを見て、加藤恋は驚いて言った。「あなた...秋山青路さんじゃないですか?」

目の前に立っている人が自分の大学の同級生だと確信できた。なるほど、福田隼人が秋山さんは自分と同じ大学の卒業生だと言っていたわけだ。

「家庭の事情で、私の二つの身分を知っている人は少ないんです。でも、家族が女の子を望んでいたので、私の名前は確かに秋山心なんです」

食事中、秋山心は加藤恋に言った。「今回東京に来たついでに、昔の同級生たちと約束をしたんです。みんなこの機会に同窓会をしたいと言っているんですが、あなたも一緒に来ませんか?」

加藤恋はこの話を聞いて急いで首を振った。「みなさんで楽しく集まってください。私は参加しません」

「どうしてですか?」秋山心は少し驚いた様子で「大学時代はあまり集まりに参加しなかったけど、同級生として情があるじゃないですか!」

加藤恋は当時、学校では注目の的だった。甘い系の容姿を持ち、ほとんどの科目で学科トップの成績を収め、さらに学生会副会長にも選ばれた。

しかし、そんな優秀な人が卒業後すぐに結婚を選んだことは、誰も予想していなかった。

ただし、加藤恋は勉強かアルバイトに忙しく、同じ学科の人たちとはあまり親しくなかった。むしろ多くの人は彼女が人を見下していると思い込んでいたため、自然と関係は親密ではなかった。

「卒業後はほとんどの同級生と連絡を取っていないので...」ブライダルショップでの出来事を思い出し、加藤恋は溜息をついた。

秋山心は笑いながら「大丈夫ですよ。今回の同窓会は、以前の学科の小林雪が家族のホテルを継いだので、彼女がホストとして招待してくれるんです。私たちは彼女の面子を立てないといけません」

加藤恋の表情が少し揺らいでいるのを見て、秋山心は説得を続けた。「みんなが集まるのに、あなたが来ないのはちょっと...どうしても心配なら、福田隼人さんと一緒に行きましょう!」