070 別の目的

「お前は……」福田隼人はまだ少し信じられない様子で、かつて秋山家と福田家はほぼ親密無間だった頃を思い出した。彼と秋山心は子供の頃一緒に寝たこともあったが、まさか彼が男性だったとは全く気付かなかった。

「小さい頃、父は女の子が欲しかったから、私を女の子のように育てたんです。家族も私を女の子だと思っていたから、後継ぎ争いに巻き込まれることもなく、今まで無事に生きてこられました。時間が経つにつれて、女装も悪くないと思うようになりました」

秋山心の笑顔を見て、福田隼人は沈黙した。秋山家の事情は彼も知っていた。もし幼い頃から女の子として生活していなければ、おそらく今まで生きていられなかっただろう。

否定できないのは、この男の容姿の良さだ。東京でも男性としても女性としても、トップクラスの美貌と言えるだろう。