秋山心は福田章たち三人を見つめながら、思わず口を開いた。「じゃあ、他の人は……」
加藤恋は何も言わず、橋本様に目配せをした。
「ご心配なく、この方々のことは私にお任せください。しっかりと手配して福田家へお送りいたします」
「分かりました。では、お願いします」そう言うと加藤恋は秋山心を連れて湖山霧隠れを後にした。
車に乗ってもなお、秋山心は状況を飲み込めないでいた。冷静な表情の加藤恋を見つめながら、福田隼人の妻は噂で聞いていたのとは少し違うようだと思った。
「お姉さん、今日のことは……」
秋山心が何を言おうとしているのか察したように、加藤恋は急いで口を開いた。「心ちゃん、今日のことは秘密にしておいてほしいの。もし隼人が私とこの人たちの関係を知ったら、きっと怒り出すわ」