結局RCは今までモデルがいなかったし、会員制の一対一のサービスを提供する存在だったため、どんな国際スターからのオファーも一切受け付けていなかった。
そう考えると、加藤恋は興奮を抑えられなかった。結婚記念日に母が結婚式で着ていたリメイクしたウェディングドレスを着るのが待ち遠しかった。
「でも、このクリスタルガーデンってどんな場所なの?」秋山心は福田隼人を見つめながら、興味深そうな目つきで尋ねた。この二人は本当に面白い。
「若いお客さんは地方の方ですか?クリスタルガーデンを知らないなんて!」運転手は豪快に笑いながら言った。「クリスタルガーデンは東京のランドマークで、全体がクリスタルで作られていて、中にはありとあらゆる花が咲いています。通常は政府関係者にしか開放されていないんですよ。」
そのため、一体誰がクリスタルガーデンを貸し切り、東京の話題を独占したのか、大きな謎となっていた。
大多数の人々は、クリスタルガーデンを借り切った人物は、最近ネットで話題になった大富豪に違いないと考えていた。
クリスタルガーデンを借り切ったのは東京に新しく来た大物だという噂も流れていた。
さらに多くの人々は、クリスタルガーデンを借り切った人物は、きっと謎めいた身分の男性で、妻への愛を示すため、素晴らしい結婚記念日を過ごそうとしているのだと推測していた……
どんな噂も極めてロマンチックな色彩を帯びており、東京中が幸せな雰囲気に包まれていた。特にRCの新しいモデルとクリスタルガーデンの謎の人物が同じ日に正体を明かすということで、考えただけでも胸が躍った。
この期間、多くの女性たちは異常なほど苛立っていた。世の中にこんなに幸せな二人の女性がいるなんて。一人はオートクチュールのウェディングドレスを着ることができ、もう一人は一晩で何百万もするクリスタルガーデンでの愛を楽しめるのだから。
福田隼人は、東京のジャーナリストたちが巨額を投じてクリスタルガーデンを借り切った人物が自分だと突き止めることを心配し、スタッフたちに厳重な秘密保持を指示した。今は結婚記念日が早く来ることを心待ちにしていた。
ついに福田家で発言権を得た彼は、結婚記念日に加藤恋に盛大な結婚式で埋め合わせをしたいと考えていた!
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