116 過ちを認める

東方のお爺さまの目は真っ赤で、年老いた彼は一連の騒動で息も整わず、加藤恋は黒川端の部下たちに老人を止めるよう指示した。もし何か起きでもしたら、誰も望まない事態になるからだ。

「お父さん、落ち着いてください。一体何があったんですか？浩が何か取り返しのつかないことをしたというんですか？」東方父は困惑して、自分の父親に尋ねた。記憶の中では、父は非常に儒雅な人物で、こんなことをするはずがないと。

東方のお爺さまは携帯電話を投げつけた。「不孝者め、自分で見るがいい。これがお前の育てた立派な息子だ」

東方父は眉をひそめながら東方のお爺さまの携帯電話を開いた。そこには目を覆いたくなるような動画が映っていた。あの日、バーで東方浩が小林雪に卑劣な行為をしようとしていた場面で、その猥褻な言葉を聞いて、恥ずかしさのあまり振り向きざま平手打ちを食らわせた。

「これがお前の言っていた、いじめられたという話か！お前が暴行を受けた理由がこれか。小林雪が勝手にトラブルを起こしたと言って、私に正義を求めさせたのか。東方浩、お前は私の息子を名乗る資格などない」

東方父は何度も深呼吸をした。自分の息子がこんなことをするとは夢にも思わなかった。

「お父さん！説明させてください。理由があるんです！僕は本当に小林雪と和解したかったんです。僕は...」動画では明確に聞こえていた。この畜生は東方家の財産を相続するためにこんなことをしたのだと。

東方父の上がった手を見て、東方浩は大声で叫んだ。「くそっ！お前ら年寄り二人は何をしてるんだ！俺は東方家唯一の跡取りだぞ。俺を殺したら、家の財産を継ぐ者がいなくなるんだぞ」

「馬鹿を言うな。お前のような者に家業を継がせるものか。私はまだ壮年だ。最悪でも新しく子供を作って育て直せばいい。お前のような息子を育ててしまった私が失敗だった！」

二人が激怒している様子を見て、加藤恋は前に出た。「東方のお爺さま、東方の叔父さん、それだけではありません。小林雪と付き合っていた時も、東方浩はあの女と関係を持ち続け、さらにその女性に三度も堕胎させています。これらのことはご存じなかったでしょう！」