144 新薬実験

そのとき、ベッドの上の張本の叔父さんが突然うめき声を上げ、長い息を吐き出すと、顔色が良くなり、呼吸も落ち着いてきた。

「おじいちゃん、早く良くなってね。お母さんが心配してるって。良くなったら、東が天ぷらを食べに連れて行ってあげるからね」東は笑顔で張本の叔父さんの側に寄り、布団を掛け直してあげた。そして、病床に腕をついて、張本の叔父さんの額に手を当てた。

高橋あきらは顔を曇らせた。「ここは病院だ。劇場じゃない。そんな芝居がかった演技は誰に見せているんだ!ここは病院だぞ、良くなると言って良くなる場所じゃない。早く退いてくれ、全身検査をしなければならない」

看護師は震えながら張本の叔父さんに繋がれた機器の側に行き、チェックしながら驚きの表情を浮かべた。「先生...先生!早く見てください!彼の、彼の血液指標が正常になっています!白血球の異常も3分の1も改善されています...」