127 鑑宝大会

「おや、こんな大事なことなのに、私たちを呼び戻さないなんて?お母さん、私がきりきりの叔母さんだってこと、忘れてたんじゃないの?」これほど長い間、福田嘉の心には不満が溜まっていた。

書斎には福田のお婆様一人しかいないことに気づき、福田嘉は母親を見つめながら、厳しい口調で言った。「お母さん、次男が短期間で家の問題を解決できないことはご存知でしょう。私か福田隼人に任せずに時間を引き延ばせば、どれだけの損失が出るかわかっているはずです!」

福田のお婆様は少し目を上げ、そして淡々と一言。「お前の弟が上手く解決するわ。」

福田嘉はその言葉を聞いて、両手が震えた。こんな状況になっても、福田のお婆様は息子を贔屓するつもりなのか!

この老婆は現実が見えていないのか?

適任者が出てこなければ、事態は悪化の一途を辿り、福田家の損失はますます膨らむだけなのに……

福田のお婆様は福田嘉の心中を察したようで、眉をひそめた。「お前か福田隼人が出てきたら、お前の弟は今の地位を保てなくなる。周りの目はどうなると思う!将来、どうやって福田家を率いていけというの?」

「どうしても次男がその地位に就かなければならないんですか?」福田嘉の口調は非常に不快だった。「その地位のために、全体の状況を無視するつもりなんですね?」

前回の誕生日パーティーの時から、福田嘉は気づいていた。福田隼人がどれだけ努力しても、どれだけ良い成果を出しても、福田のお婆様は家業を彼らに任せるつもりはないのだと!

「そうよ、彼は家族の事業に心を砕いている唯一の息子なの。」

福田のお婆様はそう言うと立ち上がり、振り返ることもなく出口へ向かった。

「鑑定会がもうすぐ始まるわ。弟が持ってくる宝物のことを、良く言ってあげなさい。」

福田嘉は福田のお婆様の去っていく姿を見つめながら、歯を食いしばって体を震わせた。

なぜ?なぜ母親なのに、心の中には弟のことしかないの?どうして彼女の努力や献身を見てくれないの?あの利己的でくだらない馬鹿と比べて、彼女のどこが劣っているというの?子供が一流企業との提携チャンスを掴んでも、母は見て見ぬふりをする!

福田嘉の目には不満と悔しさが満ちていた。福田のお婆様は彼らを家族として見ていない、表面的な関係を保っているだけなのだ。