252 株式売却

「お義姉さん、交通局の方と連絡が取れないわ。きっと背後にいる人が先手を打ったのね。今から木原駿が前に私を連れて行ったバーに行くわ。あの子はきっと何か知っているはず!」加藤恋は秋山心からの電話を受け、相手は今回こそ福田隼人を死地に追い込めると決意を固めたようだった。

「ええ、福田隼人を轢いた車を必ず見つけてね」加藤恋が秋山心との電話を切ったところに、唐沢行からの連絡が立て続けに入ってきた。「社長、今とても重要な案件が発生しました!」

「えっ?」加藤恋が首を傾げていると、唐沢行が意味深な口調で続けた。「先ほど福田元が我が社に電話をかけてきて、自分が持っている福田家の株式全部をセイソウリキに売りたいと言ってきました。でも...彼はセイソウリキの社長があなただとは知らないんです」