320 夜中の錠破り

「彼女は母親以上に優秀で、うまく活用すれば、御社では太刀打ちできないでしょうね」高杉川は突然笑顔を見せ、体中が興奮で震え始めた。向井栞よ、向井栞、あなたは本当に素晴らしい娘を育て上げたね。

加藤恋は初舞台での緊張から、慎重な姿勢を見せていたが、後半になると実力を発揮し始め、野木早香との対戦では完全に野心を露わにした。150点満点の舞台を披露できたということは、彼女の実力は確実に150点を超えているということだ。

秋山花は興奮する高杉川の様子を見ながら、瞳をますます暗くしていった。若くて社会の厳しさを知らない彼女は、多くのことを知らない。そろそろ教訓を与えるときだわ。向井栞一人で何年も無駄にしたのに、私は娘の件でそんなに長い時間をかけたくない。結局、高杉川の心には私がいないのよ。これだけの年月が経っても、私は彼の傍らで何の肩書きもない存在なのだから。