343 審査員の投票

加藤恋は何か言おうとしたが、頭が激しく痛み、両目はまるで火で焼かれているかのようだった。

その時、葉野言葉は慌てて階段を上がり、温井詩花も怒りの表情で夏川晴海の前に来て、容赦なく彼女のイブニングドレスを引っ張り、強く床に押し付けた。

「言いなさい、加藤恋の目薬を一体何に替えたの」

しかし今一番怒っているのは夏川晴海だった。加藤恋が以前どうやって高木勝の機嫌を損ねたのか知らないが、高木勝は彼女の目薬を替えることを条件に、票の操作を手伝うと約束したのだ。

誰が思っただろう、この加藤恋はほとんど目が見えないのに、こんなに素晴らしいステージパフォーマンスができるなんて！

「私、私はあなたが何を言っているのか分かりません。私たちは一緒にコンテストに参加しているのに、これは暴力行為です」夏川晴海は無実な表情で温井詩花を見つめた。この狂った女が自分を押し倒すなんて想像もしていなかった。

「はぁ……」葉野言葉は荒い息を吐きながら言った。「鹿川、この目薬は紅彩炎の治療用の散瞳剤よ。加藤恋がきちんと治療しないと、二週間も失明する可能性があるわ」

葉野言葉は体の不調を必死に耐えながら、温井詩花に自分が聞いた情報を伝えた。温井詩花は近くの花瓶を手に取り、それを割ると、その破片を夏川晴海の顔の近くに突きつけた。「誰に頼まれてこんなことをしたの？言いなさい！誰よ！」

夏川晴海は必死に抵抗し、助けを呼ぼうとしたが、温井詩花に強く押さえつけられて動けなかった。傍らの葉野言葉は息を切らしていたが、夏川晴海に対して全く同情の念を持っていなかった。

「もういい、何があっても後で解決しましょう。今は評価委員の投票を受けに行かなければなりません」高橋綾子はずっと冷ややかな目で目の前の出来事を見ていた。まもなく投票が始まるので、これ以上問題を起こさないことを願った。

「番組スタッフがあなたの命を救ったことに感謝すべきよ！」温井詩花は手に持っていた花瓶の破片を投げ捨て、葉野言葉を数言で慰めた後、皆で再びステージに戻った。

「それでは、お待ちかねの評価委員による投票の時間です！」竜川尚は大きな声で叫んだ。「五人の選手を盛大な拍手でお迎えしましょう。評価委員の心の中で、どの三人が最も進出にふさわしい選手なのでしょうか？」