436 死に続ける

【パッシブ・模倣學習】

加藤恋のキャラクターの頭上にパッシブスキルが表示されるのを見て、安藤静と竜川尚はすぐに引き返し、両側から秋山花のチームメイトを挟み撃ちにした。

「やった!」温井詩花は興奮して机を叩いた。計画通り、彼女はすぐにダンジョンに向かった。ダンジョンを開けば葉野言葉が戻ってこられる。そうすれば、彼らのグループが先にダンジョンを攻略できて、他の問題も解決できる。

加藤恋が秋山花のスピードについていけさえすれば、彼女は秋山花を倒せる自信があった。

「恋ちゃんはまだ子供だし、eスポーツの新人だって聞いたわ。私には勝てないでしょう!」ヘッドセットから秋山花の声が聞こえた。からかうような調子ではあったが、明らかに加藤恋を罠にはめようとしていた。

確かに彼女はeスポーツの新人だ。でも、たとえ新人でも、自分の母親を傷つけた仇には復讐するのが当然じゃないか!

秋山花が死亡!復活まで37秒!

【ナイトシャドウ:冗談じゃない?加藤恋が秋山花を倒した?】

【かかし:番組制作側が行き過ぎだよ!加藤恋を持ち上げるためにこんなことするなんて!】

【花生:何を言い出すの、秋山花の操作はあなたたちが言うほど上手くないわ】

配信ルームは一時騒然となり、みんなが加藤恋がどうやって秋山花に勝ったのか疑問を投げかけていた。

ナイトの与えるダメージはアサシンより低いはずだし、それに秋山花は『アライアンス』のベテランプレイヤーだ。たとえ操作が下手でも、新人より下手なはずがない!

パソコンの前の秋山花は眉をひそめ、マウスを握る手に力が入った。幸い彼女は早めに復活薬を用意していた。今から加藤恋をリベンジキルするのは...朝飯前のはずだった...

秋山花が死亡!復活まで54秒!

また!加藤恋にまた殺されてしまった?

それだけでなく、秋山花はキーボードを投げ出しそうになった。高額で購入した秘寶が加藤恋のせいでドロップしてしまったのだ。

「秋山先生、一旦撤退しましょう!」秋山花のチームのヒーラーが急いで声をかけた。彼女は秋山花の方向に向かっていた。

しかし秋山花は彼女の忠告を聞かず、画面に表示される「あなたは死亡しました」の文字と、次々とドロップしていく秘寶を何度も見つめていた。