407 逆に脅される

「なかなかいい品物だ。本物のフランス宮廷衣装で、強いロココトーンの特徴が見られる。それなりの価値はあるな」鈴木和は体を起こし、周りの人に聞こえるように大声で言った。

ロココトーン?加藤恋はその言葉を聞いた瞬間に顔を上げた。

夏川梅のアトリエで、加藤恋はオルレアン公爵政権時代とルイ16世時代から伝わるウェディングドレスを見たことがある。加藤恋の学習と理解によると、ロココトーンの衣装の顕著な特徴は優美で繊細であり、人体のラインの柔らかさを表現している。

このようなデザイン手法は、衣服に優美さと複雑さをもたらし、大胆な造形と鮮やかな色彩を多用して豪華でロマンチックな視覚効果を生み出す。

これらの衣装は現代の目で見ると確かに少し大げさだが、ロココトーンが好んで使用する白、金、ピンク、インディゴブルーとは全く異なり、これらの衣装の色はやや暗めだ。

「これらの衣装は明らかに自然の形態を模倣しており、装飾や設計に非対称の要素が見られます。よく見てください。これらの衣装のあらゆる部分にルイ16世時代の特徴が表れており、新興ブルジョワジーの感覚的な快楽を追求する美的趣味が強く表現されています。また、これらの織物や染料も、すべてその時代のものです」

鈴木和が一般の人には理解できないような専門用語を並べ立てると、居間にいる人々は分かったふりをして相づちを打った。

加藤恋は眉をひそめた。この「大家」は大学の教科書を暗唱しているようだが、確かにロココトーンはルイ16世時代の名品だ。ただし、これらの衣装とは全く関係がない。

夏川梅からのメッセージを見ると、やはり加藤恋の考えが正しかった。

「でも、これはロココトーンではないように思えるのですが」加藤恋の声が居間に響き、鈴木和と木村玄が明らかに一瞬固まった。

すぐに木村玄が大声で叫んだ。「何を言い出すんだ?高橋の爺さんが嘘をつくとでも言うのか?」

「そうよ、家の中で騒ぐのはまだしも、今日は外の人の前なのよ。余計なことは言わないで」福田嘉は急いで加藤恋を制止した。

「あなたね、この嫁を甘やかしすぎよ。見てごらんなさい、こんな場で恥をかかせて」

「私も加藤恋さんの言う通りだと思います。これはロココトーンには見えませんね。でも私も服のことはよく分かりません。これは珍しいアンティークですからね」