411 値段交渉

本物の鈴木和は卑屈な須田透を見つめ、その目には温もりの欠片もなく、嫌悪感が波のように溢れ出ていた。

「私は詐欺師じゃないのか?いつから詐欺師の言葉を信じるようになったんだ?」

須田透は今にも死にたい気持ちだった。「先ほどは目が曇っていました。もう一度チャンスをください。これらの服がルイ14世時代の宝物だということはご存知の通りです。私の手元に置いても収集価値はありませんし…」

「つまり、国立博物館に無償で寄贈するということかな?」鈴木和は、この金に執着する男を見て、思わず嘲笑い、彼の足にしがみつく手を払いのけた。

須田透は地面に這いつくばり、恥ずかしさで顔を真っ赤にしていたが、どうすればいいのか全く分からず、今にも死にたい気持ちだった。

これは自分がお金を出して買ったものなのに、なぜ無償で国立博物館に寄付しなければならないのか。

「少々お待ちください」傍観していた加藤恋がついに口を開いた。彼女は須田透に向かって笑みを浮かべながら、慰めるような口調で言った。「お父さん、早く立ち上がって。高橋の爺さんは口では怒っているけど、きっと心の中ではこの宝物を受け取りたいと思っているはずよ」

「それはお前が言っているだけだ。私はそんなこと一言も言っていない」

鈴木和のツンデレな態度を見て、加藤恋はブラックカードを取り出し、須田透のポケットに入れた。「この一連の服は私が買い取ることにします。お父さん、もう心配しないで」

お金が手に入ると見るや、福田嘉が素早く奪い取った。「仕事で稼いだお金は渡すように言っていたでしょう。結局私たちの手に入るんじゃない。それに、早く高橋の爺さんに謝りなさい。恥ずかしい限りよ」

須田透は福田嘉に引き起こされ、加藤恋の一億二千万円のカードを見て胸が痛んだ。本来なら数十億円で売れたはずの宝石が、今では手元で無駄になってしまった。

人を見る目がなかったせいで、こんなに大金を失うことになってしまった。

福田嘉は急いでその場の話題を変えようとして服を片付けに行こうとしたが、加藤恋が先に数着の服を手に取って言った。「お母さん、これらの服は私が預かります」

加藤恋の行動を見て、福田嘉はその場で固まった。元々、家族が買い取った服なのだから、服から宝石を取り外して転売すれば儲けられると考えていたのに、まさか加藤恋がこんな策を使ってくるとは。