そんな危険な場所に行ったら、帰って来られるかどうかも分からない。それに、彼女はそんな確実性のないことは決してしない。木村信彦のような人物とは関わらない方がいい。
加藤恋は心の中の思いを振り払い、先に休むことにした。
翌朝早く、加藤恋はリビングの散らかり具合と、泥酔している福田嘉と須田透を見て、すぐに掃除を頼んだ。
何も言わずにセイソウリキに直行し、社長室に向かった。まだ入室する前に、濃い血の匂いが漂ってきた。
彼女は警戒しながら社長室に入った。もしかして木村信彦のやつが昨夜、手を出したのか?
慎重にドアを開けると、齋藤武史が額に汗を浮かべ、目を固く閉じている姿が目に入った。
彼の顔色は青ざめ、全身が止めどなく震えていた。
加藤恋は大きく驚いた。齋藤武史が彼女の社長室にいるとは思いもよらなかった。急いで手を伸ばすと、彼の体は熱く、ほぼ意識不明の状態だった。それだけでなく、齋藤武史はすでに痙攣の兆候を見せており、加藤恋は急いで彼を支え上げたが、両手は瞬時に血で染まった。