457 人を殺してしまった

「思ったより体型がいいじゃない、ハハ!」川島芹那は冷や汗を流し、加藤恋は時間を確認した。このペーストはまだ30分以上彼女の体に付けておく必要があった。

加藤恋も楽ではなかった。全身の汗で服がびっしょりと濡れていたが、二人とも部屋の薬の臭いが随分と薄くなっていることに気付いた。

「ここだ!彼女は間違いなくこの病室にいる!」

「人を殺したら命で償うべきよ。今日こそあの女から説明を求めなければ」

「全て彼女のせいよ。生まれてくる子供は父親なしで育つことになるのよ」

川島芹那の病室の前で突然騒がしい声が聞こえ、加藤恋はカーテンを引いて、まっすぐドアの外に出た。

予想外にも、ドアの前にいたのは先ほどの妊婦の夫だった。しかし今は顔色が青白く、生気がなかった。

「私と川島芹那よりも、あなたたち二人の方が姉妹みたいね!」

思いがけず川島静香がゆっくりと現れ、加藤恋は彼女を見て表情を変えた。彼女がここにいるなら、橋本様はどこに?

彼女の側にいた大男たちのうち一人だけが付いてきているのを見て、加藤恋の表情は一層険しくなった。橋本様は必ず生きている、ただ少数で多数を相手にするのは都合が悪かったのだろう。

加藤恋が出てくるのを見て、その大男は自然と川島静香の前に立った。明らかに川島静香の指示だとわかった。

この時、加藤恋の薄手のシャツは汗で濡れ透け、すらりとした均整の取れた、豊満でしなやかな体つき、特に胸の豊かさが際立っていた……

「もう一度見たら目を抉り出すわよ」加藤恋は横にいる大柄な男を見て、威圧的な口調で言った。

「余計な話はやめなさい、加藤恋。さっき一体何をしたの?人を殺しておいて、分かってるの?」川島静香の声は大きく、瞬く間に野次馬を集めた。

幸い加藤恋はまだここにいた。彼女が苦心して仕掛けた罠は無駄にならなかった。

「でたらめを言わないで。さっきみんなが見ていたでしょう。私は彼の妻にしか触れていない、彼には全く触れていないわ」

加藤恋には川島静香の考え方が理解できなかった。もし彼女を陥れるためなら、この罠はあまりにも露骨すぎる。

「私が彼を殺したというなら、今すぐ彼を生き返らせてみせましょうか?」加藤恋は得意げな様子の川島静香を見て、思わず彼女を哀れに思った。