517 身分の確認

「くそ、お前は何者だ?ここがどこだと思ってるんだ?」

「葬式中だって分からないのか?部外者は立ち入り禁止だ。」

「さっさと出て行け。」加藤恋が川島家に足を踏み入れた途端、数人の屈強な男たちに止められた。

「私は川島家の恩人よ。それに、川島芹那とは友達だわ。彼女が今トラブルに巻き込まれているから、急いで助けに来たのよ」加藤恋は冷静に言った。

周りから嘲笑が聞こえてきた。そして川島芹那は重荷から解放されたかのように近づいてきて、加藤恋を上から下まで見渡し、来訪者の身元を確認しているようだった。

「私が来るべきじゃないと思う?あなたのヘリコプターが来たのに、私が来なかったら川島お嬢様の顔を潰すことになるでしょう?」加藤恋はにこやかに言ったが、心の中では少し不思議に思い、川島芹那を好奇心を持って見つめた。自分を招待したのは彼女じゃなかったのか?

自分の友人が応援に来てくれたことに、川島芹那の目には隠しきれない興奮の色が浮かび、その後、後ろの人々に向かって大声で宣言した。「おじいさまの遺志により、私が川島家の相続人です。当然、四宮律子ホテルを相続する資格もあります!それに今、私は集団のスポンサーを見つけてきたのです!」

川島芹那の声には涙声が混じっており、おじいさまの死が彼女に与えた衝撃がいかに大きかったかが伺えた。

この発言に、その場にいた全員が衝撃を受けた。

特に川島功は、加藤恋を信じられない様子で見つめ、次第に目に陰険な色が浮かんできた。この女は何者なのか、突然現れた目的は何なのか。

当の加藤恋は茫然としていた。何が起きているのか分からないまま、自分が盾にされているような感覚を覚えた。

言いたいことは口まで出かかっていたが、川島芹那の目がクルミのように腫れているのを見て、さらに周りに大勢の部外者がいることを考慮し、加藤恋は言葉を飲み込んだ。

「川島芹那、お前は正気を失ったのか!城間の若様がずっとお前のことを好きだったのを知っているだろう。今回の四宮律子の買収もお前の面子を立てるためだったのに、今お前は何をしている?こんな連中と付き合って、恥を知れ!」川島功は顔を真っ赤にして怒鳴りつけた。もちろん、こんな事態が突然起こるとは予想していなかったからだ。川島芹那は行方不明だったのに、今や戻ってきただけでなく、新しい出資者まで連れてきたのだ。