468 腹黒い策略

福田隼人は心配そうに須田透を見つめた。「お父さん、行くべきところは行かないと。めまいがするだけで、死ぬわけじゃないでしょう」

しかし須田透は首を振り続けた。

加藤恋は顎に手を当てながらゆっくりと口を開いた。「お父さん、めまいの他に最近記憶力が低下して、集中力が落ちて、首が常に痛いとかありませんか?」

その言葉を聞いて、須田透は少し呆然とし、表情が曇ったが、それでも頷いて蚊のような声で「うん」と答えた。

「これがどんな病気か分かるの?」福田嘉は驚いて加藤恋を見つめた。彼女もこれらの症状に見覚えがあったが、すぐには思い出せなかった。

加藤恋の表情は非常に深刻だった。「これは初期の脳血管硬化の兆候です。一般的に患者さんは記憶力の低下やめまい、食欲不振などが現れます...最も重要なのは、おじいちゃんも重病の初期にまったく同じ状態だったということです」

「当時、医師は、このまま進行すると脳動脈硬化症になり、最終的に精神疾患になって、自分が誰かも分からなくなり、行動も乱れるようになると言っていました。その後おじいちゃんは入院し、この症状は治まりましたが、代わりに他の病気になってしまいました」

「えっ?どうしよう?透、早く立って、一緒に病院に行きましょう!」福田嘉は緊張した様子で須田透の手を掴み、涙を流しそうなほど焦っていた。

「お父さん、恋に連れて行ってもらったら?この年でアルツハイマー病になりたくないでしょう!」

福田隼人は須田透の性格をよく知っていた。彼は頑固な性格で、一度決めたら説得しても無駄だった。

「お父さんが病院に行きたくないなら、家庭医を呼びましょう。でも、できれば脳のCTを撮った方がいいです。それが役立...」

「いらない、いらない!どんな薬を飲めばいいか聞いてきて、後で持ってきてくれ。私が認知症になるなんて信じられないよ」須田透はこの件を気にも留めず、ゆっくりと紅茶を一口飲んだ。

福田嘉はこの時、態度を一変させ、加藤恋にも優しい表情を見せた。「恋、早くお父さんの薬を処方してもらって、良い薬を買ってきて。そうすれば必ず飲んでくれるわ」

加藤恋は頷いた。福田嘉は今、チャンスを見つけては急いで彼女にお金を使わせようとしているのだった。