もう半月も経つのに、彼の下半身はまったく反応がなく、時には自分がまだ男であることさえ感じられないほどだった!
井野忠は今や藁にもすがる思いで、漢方医でも西洋医でも、彼を治せるならどんな医者でも構わないと思っていた!
一億二千万円といえば高橋家の面子を十分に立てたことになる。薬を手に入れた後で高橋山に自分の問題について話せば、新しい特効薬が手に入るかもしれない。
しかし加藤恋は冷静に井野忠を見つめ、さらに値を上げるつもりはないようだった。
「よろしい!では最後の特効薬はこちらの紳士のものです。皆さん、拍手でこの紳士をお迎えください」司会者は興奮気味に井野忠を見つめた。ようやくこのイベントが終わる。このまま続けていたら、彼らが手を出し合うことになったかもしれない。
「ちょっと待ってください、この薬には問題があると思います!」群衆の中から突然声が上がった。
井野忠は怒りで体を震わせ、大声で罵った。「一体何がしたいんだ?俺を困らせるためにここにいるのか?」
加藤恋はさっと微笑み、スマホをしまった。
これも彼女の少しばかりの私心だった。高橋山の顔に泥を塗るだけでなく、ついでに井野忠にも警告を与えるつもりだった。
「どうしたんですか?あなたが気に入ったものなら、必ず良いものだとでも?」小瀧武は少し無奈そうに首を振り、その口調には微かな心配が混じっていた。「さっきも言ったように、この薬には問題がある。誰も信じようとしなかったが、高橋山の後ろに立っている若者に聞きたい。この薬の処方はいったいどこから来たんだ?」
高橋山はこの言葉を聞いて顔色が一気に不満げになった。「まだ言うか!この処方は我々の専門家が研究して作り出したものだ。問題があるはずがない」
高橋山の言葉を聞いて、高橋勇人の表情には心虚さが浮かんだ。彼は高橋山にこの処方がどこから来たのか話していなかった……
ただ、これは彼の部下と他の製薬会社が共同開発したもので、彼が高額で特許を買い取ったと言っただけだった。もし高橋山にこの薬がノバルティスから買ったものだと知られたら、彼は激怒するに違いない。
この時になって高橋勇人はふと思った。当時彼らがあんなにあっさりと処方を自分に渡したのは、このような事態を見越していたのではないか。今、薬に本当に問題があれば、彼は弁解のしようがなくなる。