第25章 自分への罰杯

久我月は携帯を閉じ、一橋貴明を見上げた。眠気が襲ってきて、ちょうど一橋貴明の顔に向かって、だらしなくあくびをした。

後部座席を注視していた竹内北は、この光景を見て、まさに怒り狂いそうだった。

これは、まさに七男の若様への挑発ではないか!

七男の若様は絶対我慢できないはずだ。

そう思った矢先、久我月は真面目な表情で説明した。「申し訳ありません。挑発するつもりはなかったんです。ただ眠くて仕方なくて。」

ふん!

竹内北は心の中で冷ややかに笑った。

誰が信じるものか?

すると七男の若様が「...ああ」と言った。

久我月は眠るのが大好きで、窮屈かどうかも気にせず、すぐに目を閉じて眠りについた。

一橋貴明は久我月が寝るとき、習慣的に両腕を胸の前で組むことに気付いた。

心理学的に言えば、この姿勢は内心で安全感が著しく欠如していることを示している。