第213章 中村次男の若様は女性が嫌い!

百里紅裳は説明した。「会社に戻ってくるのはいつですか?」

中村少華は一瞬戸惑った。「何?」

「なんでもありません。切ります」百里紅裳はため息をつき、電話を切った。

中村少華は「……」

彼はこの案件に心を奪われていたため、紅裳が電話を切ったことにも、少女の様子にも気を留めなかった。

このプロジェクトの商談が終わると、中村少華はすぐに会社に戻った。机の上に保温弁当箱が置いてあるのが目に入った。

「誰が入ってきたんだ?」中村少華は顔を曇らせた。

中村静加は中村少華を横目で見た。「知るわけないでしょう。私がやったわけじゃないし」

男性秘書に尋ねると、秘書は説明した。「裳さんです。中村さんにお弁当を届けに来られました。中村さんが商談中だったので、ずっとここで待っておられました。約30分前に、お腹が空いたとおっしゃって、近くに商店街があるか聞かれました。裳さんが道に不案内かと思い、商店街までお連れしました」

中村静加は秘書に下がるよう手を振り、保温弁当箱を開けて驚いて言った。「おや、これは次男が好きな海老の醤油煮と酢豚じゃないか」

下には野菜料理も二品あり、どれも中村少華の好物だった。

「まだ温かいよ。見た目も香りも良くて、きっと美味しいはずだ」中村静加は遠慮なく料理を取り出した。

中村少華は椅子に寄りかかり、中村静加の動きを見ながら眉をひそめた。「何をしているんだ?」

「食事だよ。他に何があるっていうんだ。少女の心のこもった料理を無駄にはできないだろう」中村静加は眉を上げた。

腕時計を見て、からかうように言った。「もう4時間近く経ってる。料理は冷めてないけど、心は冷めてないかな」

「これはお前のために作ったのか?お前の好物なのか?」

中村少華は軽蔑的に冷笑し、中村静加の手を払いのけ、もう一組の箸を取って酢豚を一切れ摘んだ。

中村静加は中村少華を睨みつけた。「ちょっと食べるくらいいいじゃないか。お前は少女のことが好きじゃないんだろう?なら彼女の作った料理なんて食べるなよ」

「うるさい!」中村少華は中村静加の相手をする気もなく、酢豚と海老を数切れ食べた。確かに美味しかった。

中村静加は少し俯いている中村少華を見た。後者の表情は読み取れず、何を考えているのかも分からなかった。