鈴木月瑠の周りの空気はより冷たく重くなり、目尻に冷たさが漂い、声も冷たく沈んでいた。「札幌市に行かなければならない」
電話を切った後、鈴木月瑠は食事をする気も失せ、リュックを背負って藤文恵に言った。「すみません、少し私用を処理しないといけなくて」
「あなたの病気は、私が戻ってから治療します」
「その薬を続けて飲んでいてください。一週間なら問題ありません」
藤文恵に注意事項を伝え終わると、急いで家に帰って荷物をまとめ、小池紀之にメッセージを送った。
[チケットを買って。今から札幌市に行くわ]
その時、一橋貴明を説得していた小池紀之は、鈴木月瑠からのメッセージを見て、眉間を押さえながら呆然とした。
一橋貴明が彼を見て言った。「どうした?口が利けなくなったのか?」
小池紀之は我に返り、飛び上がりそうなほど嬉しそうに言った。「いや、お嬢様が札幌市に行く気になったんだ。もう君の出番はないよ」