第324章 私を恋しくなったら、お金を送って

鈴木月瑠の周りの空気はより冷たく重くなり、目尻に冷たさが漂い、声も冷たく沈んでいた。「札幌市に行かなければならない」

電話を切った後、鈴木月瑠は食事をする気も失せ、リュックを背負って藤文恵に言った。「すみません、少し私用を処理しないといけなくて」

「あなたの病気は、私が戻ってから治療します」

「その薬を続けて飲んでいてください。一週間なら問題ありません」

藤文恵に注意事項を伝え終わると、急いで家に帰って荷物をまとめ、小池紀之にメッセージを送った。

[チケットを買って。今から札幌市に行くわ]

その時、一橋貴明を説得していた小池紀之は、鈴木月瑠からのメッセージを見て、眉間を押さえながら呆然とした。

一橋貴明が彼を見て言った。「どうした?口が利けなくなったのか?」

小池紀之は我に返り、飛び上がりそうなほど嬉しそうに言った。「いや、お嬢様が札幌市に行く気になったんだ。もう君の出番はないよ」

一橋貴明:「……」

小池紀之は鈴木月瑠にメッセージを送り、明らかに強がっていた:[おや、さっきまで行きたくないって言ってたじゃないか。どうして急に行く気になったの?]

鈴木月瑠:[空港で待ってるから、グダグダしないで]

小池紀之は口を尖らせ、一橋貴明の家を辞して、数人の部下を連れて急いで空港へ向かった。

道中で鈴木月瑠に何人で行くか伝えると、鈴木月瑠が彼らのチケットを購入し、小池紀之に請求することにした。

……

鈴木月瑠が空港に到着した頃、札幌市のあの数人の警官たちも急いで警察署に戻っていた。

彼らが中村桑に事の顛末を話すと、中村桑の顔は真っ黒になったが、それ以上に信じられない様子だった!

彼はずっと中村楽を弱い女性だと思っていたが、まさか彼女の格闘技の腕前があんなに高いとは!

突然、中村楽が以前着替えた姿を思い出し、あの靴は……いや、あれは軍靴だった!

普通の女性法医がどうして軍靴を手に入れられるのか?

彼女は一体何者なのか?

中村桑がまだ状況を把握しきれないうちに、突然テーブルを叩き、激怒して言った。「格闘技が上手いからって何だというんだ?」

「まさか彼女一人で、あの死の道を行く者たちと戦えると思っているのか?」

しかし怒りを感じながらも、中村桑は今は静観するわけにはいかなかった。