江川一渡は三班の表情を見て、鈴木月瑠に面子を潰されたことを悟り、眉を上げて尋ねた。「どうだった?彼女は来てくれるのか?」
三班:「……」
「何を聞くことがあるんだ?」
傍らの五班が嬉しそうに言った。「我らが三班はどんな人物か知ってるだろう?一人で二人分の働きをする男だぜ。彼が出向いたんだから、間違いなく成功したはずさ!どうだ三班、特殊捜査課に来られると聞いて、彼女は感激して泣きそうだったろう?どの班に来るんだ?」
三班:「……」
みんなにどう対面すればいいのか分からない。これを言い出したら面子が丸つぶれだ。特殊捜査課の二班長が、若い女の子に嘲られたなんて!
三班は顔を赤らめたが、彼の厚い皮膚のせいで、それほど目立たなかった。
厚かましく言い淀みながら言った。「……まあ、話はついたと思う。彼女は特殊捜査課に来たがってはいるんだが……部下になるのは気が進まないらしくてね。つまり、直接班長になりたいという意味だと思う。そのことについて、上に相談してみようと思うんだが」
会議室は静まり返った。
上司の手腕が厳しいのはまだいい。問題は、無能な七班以外の班が皆、上司を恐れているということだ。
この件を上司に持ち込んだら、きっと叱られるだろう!
江川一渡は考えても無理だと思った。鈴木月瑠はもともと特殊捜査課七班なのに、何をごちゃごちゃ言っているんだ?
しかし二班と三班は人材を大切にしたいのだ。特に五班は、鈴木月瑠を引き抜いて一緒にゲームをプレイしたくて仕方がない。
そこで——数人はその場で上司に連絡を取ることにした。
小池紀之と一橋貴明は北海道の国境へ向かう途中だった。小池は一橋貴明に資料を送りながら言った。「あのファイルを見てくれ。以前、中東に行った時に助けた坊主頭の男を覚えているか?」
一橋貴明は携帯を見ようとせず、無関心そうに細い目を細めて言った。「それで?」
小池紀之は彼を睨みつけた。「携帯を見るのが死ぬほど嫌なのか?」
一橋貴明:「私の宝物から連絡がないから、携帯を見る気にならない」
小池紀之:「???」
一橋貴明に腹を立てて心臓が痛くなりそうになった。彼は一呼吸置いてから口を開いた。「あの時は多くの人を救出したはずだ。その人たちの記録は全て残っている」
「ただしこの坊主頭だけは、情報が公開されていない」