小池紀之と竹内北は同時に頭を上げ、鈴木月瑠の前に歩み寄ると、無表情な顔をしていた。
鈴木月瑠は口角を少し上げ、意味深な笑みを浮かべた。「緊張しないで、冗談よ。本は読んだし、地雷も処理したことあるから」
その言葉を聞いて、小池紀之の無感情な目にようやく緩みが見えた。それでも口では「聞きたくない、聞きたくない」と言った。
鈴木月瑠の唇の笑みは邪悪で野性的で、夜の闇の中で瞳が輝いていた。「本当よ、私について来れば死なないわ。私の方があなたたちより頼りになるから」
小池紀之は今度こそ鈴木月瑠が冗談を言っていないと確信した。「そんなに面白いの?」
「まあまあかな」
鈴木月瑠は意地悪く笑った。
……
「色々な地雷にマークを付けておいたけど、見落としがあるかもしれない」
鈴木月瑠は一通り作業を終えてから、立ち上がった。
長時間の精神的な作業のため、彼女の目尻は赤く、眉目は冷たく、強い存在感の中に苛立ちが混じっていた。
彼女は目を上げて小池紀之を見て言った。「みんなに伝えて。足元の土に気をつけるように。雨が降ったばかりだから、柔らかい道は避けるように」
「分かった」
小池紀之は鈴木月瑠が本物の実力者だと信じるようになった。
全員に指示を出した後、一行は15分ほど歩き、地雷原を抜けて無事に山道に到着した。
山麓は気温が低く、風が頬を刺すように冷たかったが、皆は興奮していた。「ふう!久しぶりに新鮮な空気を吸えた!」
「鈴木月瑠さんすごいな、俺、誤解してた!」
「マジで、これからは月瑠姉が俺の親分だ!」
小池紀之は喜びに浸る皆を放っておき、急いで竹内北の携帯で中村少華にメッセージを送った。
すぐに中村少華から返信が来た:[了解、すぐに合流地点に向かいます!]
携帯を竹内北に返しながら、小池紀之は言った。「中村次男の若様と連絡が取れた。今から合流地点に向かおう」
……
こちら側が山を下りたところで、捨狼会の者たちが山頂に駆け上がったが、誰もいないことを発見すると、すぐにオフロード車に乗って追跡を開始した。
しかし車が公道に出たとたん、突然爆発音が響いた!
ジャックの乗っていた先頭の車は、ほとんど横転しそうになり、彼は素早く車外に飛び出した。
だが彼の背中は爆発で負傷していた。