第356章 揺らめく危機

もし鈴木静海がまだ会議に出席しないのなら、このプロジェクトは双葉グループの手に落ちる可能性が高く、鈴木家は大きな損失を被ることになるだろう。

鈴木静海は携帯の電源を入れると、鈴木月瑠からの不在着信が何件も表示された。彼は折り返し電話をかけた。

相手はすぐに電話に出て、尋ねた。「無事?」

「みんな無事だよ」

鈴木静海は膝を軽く叩きながら、意味深げに言った。「暗殺者連合の人が直接出てきて、楽は無事だった」

鈴木月瑠は淡々とした口調で答えた。「知ってるわ。冥神が教えてくれたけど、あなたには会えなかったって。電話もつながらなかったし」

少し不満げな様子だった。

「じゃあ、暗殺者連合での君の立場について話してくれるのかな?」鈴木静海は優しく笑いながら言った。

鈴木月瑠:「まあ、今は何でもないわ。お父さんはもう足を洗ったし」

鈴木静海:「???ということは、以前は何かだったってこと?」

鈴木月瑠は何気なく答えた。「そうね、暗殺者連合の建国女王だったわ。もうやめたけど。金稼ぎは大変だし、命を落とす危険もあるしね」

鈴木静海:「…………」

彼はようやく暗殺者連合のロゴにXの文字がある理由を理解した。

結局、それは月瑠という意味だったのだ。

鈴木月瑠は鈴木静海との電話を切ると、一橋貴明の病室へ向かった。

入室するとすぐに、弱々しい声が聞こえた。彼女が顔を上げると。

一橋貴明はすでに目を覚ましていた。青いストライプの病衣が、男の清らかな面立ちを引き立てていたが、見るからに虚弱そうで、誰かの看病が必要そうだった。

鈴木月瑠は一橋貴明が目覚めていたことを知らなかった。彼女はそこに何気なく立ち、自然な口調で言った。「もう少し後で目覚めると思ってたわ。私の医術、なかなかいいみたいね」

一橋貴明:「……」

つまり、こっそり様子を見に来たのは、この一言を言うためだけだったのか?

「七男の若様、もうお目覚めになられたのですか!」

同じく一橋貴明の様子を見に来た竹内北は、自分の若様が目覚めているのを見て、まるで息子が生まれたかのように喜んだ。「まあ、これも鈴木月瑠さんが遠路はるばる山まで来て救助してくださったおかげですよ。そうでなければ、七男の若様がこんなに早く回復されるはずがありません!」