三班は鈴木月瑠に腹を立てていた。こんな屈辱は生まれて初めてだった。
人生で唯一の二度の屈辱も、全て鈴木月瑠からのものだった。
彼は袖をまくり上げて鈴木月瑠と戦おうとしたが、二班にしっかりと止められた。
飛びかかってきた二班を見て、三班は蹴り飛ばしそうになった。「このバカ野郎!なぜ止めるんだ?お前、鈴木月瑠に非道な目に遭わされたいのか?」
「兄弟、落ち着けよ。鈴木月瑠の恐ろしさを忘れたのか?」
二班は三班のように無謀ではなかった。鈴木月瑠の残虐さを覚えていたのだ。「彼女が大村鋭市をあんな目に遭わせて、自白させたことを忘れたのか?」
三班:「???」
二班はまだ説得を続けた。「それに、鈴木月瑠の射撃技能は凄まじい。俺たち二人では勝てないぞ。よく考えろ、彼女は銃も持っているんだ。」
一時の衝動に駆られた三班と違い、二班は鈴木月瑠に逆らう勇気がなかった。
結局のところ、今回は彼らが鈴木月瑠の弟子を殺しかけたのだから!
急いで駆けつけた鈴木雲春は、もがき苦しむ三班と二班を一言も発せずに連れ去った。
「姪っ子、こいつらをどのくらい拘束するつもりだ?」鈴木雲春は鈴木月瑠を上から下まで見て、怪我がないことを確認して安心した。
「そんなこと聞く必要ある?」
鈴木月瑠はタバコを吊るし、不敵な態度で、鳳眼に艶やかな光を宿していた。
彼女は目を細め、薄く美しい唇の端を上げ、真面目な口調で言った。「特殊捜査課に伝えて。人質の身代金として、班長一人につき千万円以上、班員一人につき三百万円以上。現金、アリペイ、銀行振込、クレジットカード、全て受け付ける。」
「もし班長だけ引き取って、班員は要らないと言ってきたら?」鈴木雲春は特殊捜査課がケチケチして、全員を引き取りたがらないのではないかと心配した。
これはやはり天文学的な数字だった。
「セット販売だよ。そんなことまで教えないといけないの?」
鈴木月瑠は漆黑の瞳を伏せ、とても投げやりな口調で言った。「ついでに伝えておいて。今日はこの価格だけど、明日からは一日百万円ずつ上乗せする。」
「七日以内に金を払って引き取らないなら、私が証拠隠滅して遺体を処理する。あとは彼らの判断に任せるわ。」
……
暗室に閉じ込められた二班と三班は、もう精神的に限界だった。暗室は本当に真っ暗で、おまけに食事も与えられなかった。