第362話 お前の命だけは助けてやる

「誰が許可を得ずに私の弟子を連れて行って解剖する勇気があったんだ？」

「特殊捜査課の噂の謎めいた大物？」

彼女がそう言った時、周囲の空気が一気に冷たくなった。彼女はゆっくりと無声で笑い、その眼差しは恐ろしかった。

特殊捜査課の班長たちは彼女の視線に出会うと、思わず首を縮めた。

二班と三班は呆然として、こんな展開を全く予想していなかった：「あ...あなた...その眠り姫があなたの弟子だと？」

意識のない玉木は、もし少しでも意識があれば、きっと罵声を浴びせていただろう。

くそっ...私はあなたの妹になりたいのに、あなたは母親になりたいの？

私は本当にあなたの実の妹なのよ！！本当の妹なのに！

蛍光灯の光が鈴木月瑠の顔に当たり、彼女は光を放つように見えた。表情は無関心そうだったが、発する言葉には殺気が漂っていた。

「医学の進歩なんて知ったことか。俺が国を救い、栄光に輝いていた時、お前らはどこにいたんだ！」

「今は俺が表舞台から退いているが、人倫道徳なんかで俺を押さえつけるな。俺が望まなければ、天が落ちようと関係ない！」

「玉木が無事なら良いが、もし彼女に少しでも傷があれば、今日ここにいる全員を、跡形もなく消してやる！」

少女の深い瞳が一瞬細まり、顎のラインが引き締まり、全身から危険な雰囲気が漂っていた：「このクズどもをしっかり見張っておけ！」

「一人でも逃がしたら、後果は自分で責任を取れ！」

これは仮面をつけた江川一渡と、今回の作戦の総指揮を任された総班長に向かって、一字一句はっきりと、反論の余地なく言い放った。

船上の特殊捜査課とアメリカ人たちは呆然とした：「いや、鈴木月瑠、一体何をするつもりだ？こんなことをすれば、どうなるか分かってるのか？」

「鈴木月瑠、これはインターポールに公然と敵対するということだぞ！鈴木月瑠、よく考えろ！」

「鈴木月瑠、我々はアメリカ人だ。我々を拘束する権利はないぞ。二国間の争いを引き起こすつもりか。鈴木月瑠、こんなことはできない...」

「...」

特殊捜査課と有田楽良の部下たちは激しく抗議したが、鈴木月瑠たちには全く効果がなかった。彼らの方が圧倒的に人数が多かったからだ。

さらに特殊捜査課のメンバーは自分たちにも非があることを分かっていたので、すぐに制御下に置かれた。