「どうですか?鈴木お嬢さんは承諾してくれないのですか?」藤さんは部長の表情が良くないのを見て、鈴木月瑠が断ったのだと思った。
「いいえ、違います」
部長は首を振って言った。「鈴木家の執事によると、鈴木月瑠さんは帝都にいないそうで、いつ戻ってくるかも分からないとのことです」
それを聞いて、藤さんはほっとして言った。「大会まであと半月あります。まだ半月の時間がありますよ!」
部長は頷き、後ろの隊員たちに向かって一字一句はっきりと言った。「そうだ、どうあっても鈴木月瑠さんを招かなければならない!」
……
一行はすぐに市内で中村少華と合流し、中村少華は軍医を連れてきていた。鈴木月瑠は軍医と症状について話し合っていた。
ここに現れた鈴木月瑠を見て、中村少華は彼女がどうやってここに来たのか聞くのを我慢したが、彼女が軍医と話し合うふりをしているのを見て、眉をひそめずにはいられなかった。
彼が眉をひそめ、何か言おうとした時、小池紀之に引っ張られていった。
中村少華は小池紀之の手を嫌そうに振り払い、眉をひそめて尋ねた。「何をするんだ?どういうつもりだ、鈴木月瑠を残して七兄さんの面倒を見させるつもりか?」
「それに、彼女はどうやってここまで来たんだ?捨狼会と何か関係があるんじゃないのか?」
この質問を投げかけると、中村少華は小池紀之が自分を横目で見るのに気付いた。
小池紀之は顔色が少し青ざめ、淡々とした口調で中村少華に尋ねた。「じゃあ、今夜我々がどうやって包囲を突破したか知っているのか?」
「お前が皆を率いて突破したんじゃないのか?」中村少華の眉間の皺はさらに深くなった。
「中村少華、お前は白昼夢を見ているのか、それとも寝て忘れたのか?」
小池紀之は思わず笑みを浮かべながら言った。「私はその時自分の身を守るのも精一杯だった。今回の任務では数人しか連れてこなかったし、銃も数丁だけだ。どうやって皆を連れて突破できたというんだ?」
「私が連れてきた仲間たちは全員犠牲になり、七兄さんは持病が再発して意識を失い、私とはぐれてしまった」
「もし鈴木月瑠がハッカーの技術を持っていなくて、私たちの位置を特定できなかったら、お前は私の遺体しか見ることができなかっただろう」
「そして私たちが無事に突破できたのは、全て鈴木月瑠のおかげだ」