第396章 治療

鈴木月瑠は遠藤家の権力に興味がなく、お金さえもらえればいいと言った。「彼の足の状態を見てから、治せるかどうかわかります。」

「うん。」

遠藤信之は機嫌が良さそうで、口角を上げながら言った。「鈴木月瑠さん、私より六、七歳年下なのに、そんな呼び方は少し変ですね。」

「月瑠って呼んでもいいですか?」彼は鈴木月瑠が間違いなく叔父の娘だと思った。あまりにも似ているから。

妹と仲良くしておかないと。

鈴木月瑠は顔を上げて遠藤信之を見つめ、ゆっくりと頷いた。「……いいです。」

遠藤信之の笑顔が更に深くなり、すぐに言った。「月瑠、後で叔父に会ったとき、何か言われても怒らないでね。」

遠藤彦が興奮しすぎて月瑠を怖がらせないかと心配だった。「あの件で、叔父はうつ病になってしまって、言葉遣いが気に入らないかもしれない。」

考えてみれば、自分の妻が突然いなくなり、鈴木家は彼女が駆け落ちしたと言い触らした。あんなに誇り高い遠藤彦が、どうして耐えられただろうか。

そのため、精神的にも身体的にも大きなダメージを受けた。

これに対して、鈴木月瑠は理解を示した。「分かりました。」

骨董品の棚を通り過ぎる時、月瑠は花瓶を何度も見つめた。「中国唐の時代の越州窯青磁八角瓶ですね。かなり高価なものです。」

彼女の記憶が正しければ、これは以前林煙未先輩がオークションに出した骨董品の花瓶で、かなりの高値で落札されたと聞いている。

「中国雍正年間の青花釉裏紅松竹梅文様壺も、遠藤家にあるんですね。」鈴木月瑠は青花磁器の壺を見つけ、目を輝かせた。

この骨董品の花瓶は由緒正しいものだ。

当時のオークションでは多くの骨董品収集家がこの青花壺を争奪し、最終的に最高額の三億円で落札された。

鈴木月瑠は誰が落札したかには関心がなく、とにかく林煙未先輩とは五分五分で分け合うことになっていた。

遠藤信之は驚いて鈴木月瑠を見た。「骨董品の鑑定もできるの?」

それだけでなく、鈴木月瑠は一目見ただけで花瓶の来歴を見抜いた。まるで国内で最も有名な鑑定士の林煙未のようだ。

鈴木月瑠は頷いた。「はい。」

遠藤信之はまたまたまた驚いた。

しかし、なぜか鈴木月瑠の視線には深い意味が込められているように感じた。

遠藤彦の部屋に着いた。