第386章 お見舞い品

一橋しんていが歩いてくるのを見て、皆は急いで立ち上がって笑顔で言った。「三男若様がいらっしゃいました。」

一橋家のしきたりでは、太夫人の三人の息子は若様と呼ばれ、一橋貴明や一橋景肴たちは、若様と呼ばれていた。

一橋しんていは鋭い目つきで皆を見渡し、何も言わなかった。

彼は鈴木月瑠の前に歩み寄り、目を細めて笑った。「月瑠」

鈴木月瑠は背筋を伸ばし、以前のような気の抜けた様子ではなくなり、声を出して呼びかけた。「一橋おじさん」

「いい子だ」

一橋しんていは鈴木月瑠が大好きで、笑いながら尋ねた。「どうして一橋家に来たのに、私に会いに来なかったの?」

「もう行きます。私たちは先に失礼します」一橋貴明はかなり不機嫌そうに口を開いた。

「何を馬鹿なことを言っているんだ!」

一橋しんていは息子を見ると腹が立ち、彼を睨みつけた後、鈴木月瑠に向かって笑顔で言った。「お前だけ帰ればいい。月瑠は残って食事をしていきなさい」