第424話 野望は大きくなる一方

一橋貴明のチームの基地にある医療班は、ある医学研究を進めていた。

鬼の医者は、最も重要な人物だった。

世界中の七千以上の希少疾患のうち、80%は遺伝子の欠陥による遺伝病である。

平均して一人の遺伝子には、七から十組の遺伝子に欠陥が存在する。

言い換えれば、両親に問題がなくても、次世代が希少疾患患者になる可能性があり、これは深刻な社会問題だ。

そしてこの病気には特効薬があるが、生涯服用が必要で、莫大な医療費は一般家庭では到底負担できない。

一般家庭が年間75万ドルを負担できるだろうか?

この病気が特に稀少であるため、現在まだ国の医療保険の対象となっておらず、一般の人々はこの医療費を負担することができない。

一橋貴明と中村少華の配下の医療班は、共同でこの研究を展開した——SAM特効薬だ。

SAMは57種類の希少疾患の中で、最も恐ろしい一つだ。

一橋貴明と中村少華がこのプロジェクトを共同で展開したのは、彼らの妹が幼い頃、不幸にもこの病気にかかったからだ。

二人の女の子は二歳の時に呼吸不全で亡くなった。たとえ薬を支払う能力があっても、しかし……

これこそが一橋貴明が鬼の医者を探している本当の理由だった。

中村少華は続けて話し始め、沈んだ口調で言った:「それに、研究所で研究中の新物質が、なかなか抽出できないんだ。」

一橋貴明はハンドルを軽く叩き、暗い眼差しで:「わかった、お前の方で早く鬼の医者を見つけろ。」

中村少華は苛立って:「お前は探さないのか?毎日一体何をしているんだ?」

一橋貴明:「恋愛だ。」

中村少華:「……」

彼は何かを思い出したように言った:「どうやら、お前だけじゃダメみたいだな。特殊捜査課が……」

言葉が終わらないうちに、一橋貴明は何かに気付き、パッと電話を切り、目の端で鈴木月瑠を見た。

鈴木月瑠がゲームに夢中になっているのを見て、彼は心の中でほっと息をついた。

中村少華は一橋貴明が回線切れだと思い、もう一度電話をかけてきた。

一橋貴明は着信拒否した。

今度は中村少華が不機嫌になり、直接メッセージを送ってきた:【お前、頭おかしいのか?俺の電話切って、出ないとか?】

一橋貴明:【お前が俺の正体をバラしかけた。】

中村少華:【何の正体?特殊捜査課のやつ?それがどうした、鈴木月瑠に知られちゃまずいのか?】