デルタ研究所には四大家門があるものの、黒川家が主導権を握っていた。黒川家当主には血縁の後継者がおらず、たった一人の継承者しかいないと聞いている。
当時、黒川若旦那がデルタを去った時、多くの勢力がデルタを虎視眈々と狙っていた。
しかし、デルタの情報管理が厳重で、それらの勢力は正確な情報を得られず、軽々しく動くことができなかった。
その後、デルタはその情報を隠蔽し、すべてが平穏になった。
誰も実際の状況を知らなかった。
月瑠が先ほど言ったことで……
白石思曼は五十年の人生で初めて、指が震え、唇が震えるほどの衝撃を受けた。
鈴木太夫人も我に返ったようで、興奮して一気に駆け寄ってきた。「やっぱり私の孫娘は並の人間じゃないわ!」
「あなた、本当に私を失望させなかったわ!」
そう言って、太夫人はテーブルを叩き、ほとんど叫ぶような声を上げた。