第475章 血を薬に入れる

「自分の意思でやることなら、いつだってかまわない」安池寒は小春沙耶を見ずに、深い静かな眼差しを向けた。

彼はそこに立ち、全てを掌握しているような威厳が漂っていた。

「私は反対よ!」

小春沙耶は考えることもなく冷たく反論し、先ほどの我慢は今や怒りに取って代わられていた。「中村楽だけが、鈴木静海を制御できるのよ」

「あなたが中村楽の解毒をするなら、鈴木静海は何も恐れることはなくなるわ」

鈴木静海の側で長年過ごしてきた小春沙耶は、彼の弱点を誰よりもよく知っていた。

中村楽だけが。

今、中村楽の生死が不明な中、鈴木静海は単身でここに闖入してきた。

そして、鈴木月瑠たちはまだ外にいる。彼らは皆実力者だ。ここを見つけ出さないとは限らない。

あるいは、鈴木静海と鈴木月瑠が内外で呼応し、今は安池寒が解薬を出すのを待っているのかもしれない。