第507章 恋愛のことばかり考えている

「そうよ、私たちの月瑠姉は凄いのよ」木下院長も誇らしげな表情で、まるで『私は鈴木月瑠の生徒だから凄いのよ』というような態度を見せていた。

頭の上に「私は鈴木月瑠の生徒です」という大きな文字が書かれているかのようだった！

鈴木月瑠の生徒たちがどれほどの栄誉を持っていようと、少なくとも彼らが鈴木月瑠の生徒であるという事実だけで、彼らは得意げになれるのだ。

どこに行っても、頭上には「鈴木月瑠の直弟子」という文字が漂っているかのようだった。

弓永院長は完全に鈴木月瑠を侮れなくなった。

彼は無造作な姿勢の鈴木月瑠を振り向いて見つめ、非常に複雑な眼差しを向けたが、この時には先ほどの軽蔑の色は完全に消えていた。

「鈴木月瑠さん、私の考えが狭量で、外見で人を判断してしまい、申し訳ありませんでした」弓永院長は頭を下げ、誠意ある謝罪の態度を示した。

鈴木月瑠が外科の名手であることは置いておいても、彼女が木下院長の師匠という身分だけで、皆を畏敬の念で満たすのに十分だった。

その医師たちは強く平手打ちを食らったかのように、頬が火照るような痛みを感じながら、一人一人が頭を下げ、息をするのも恐れるほどだった。

恥ずかしさと情けなさだけでなく、後悔の念も強かった。

彼らが夢にまで見た大物を、目が曇っていたばかりに怒らせてしまったのだ。

鈴木月瑠は繊細な眉を上げ、冷淡に「ふん」と言った。

弓永院長は一瞬戸惑い、鈴木月瑠の鋭い視線に会うと、首を縮め、もはや何も言えず、木下様と松原秘書の方を見るしかなかった。

「私の月瑠姉の意味は、あなたとは付き合っていられないということよ」

木下院長は腰に手を当てて鼻を鳴らし、叱りつけた。「あなたたち目の利かない連中め、私の月瑠姉まで見下すなんて！目が腐っているのよ！」

それを聞いて、弓永院長はすぐに安堵の息を吐き、汗を拭った。

「鈴木月瑠さん、手術の助手は誰にされますか？」彼は再び慎重に尋ねた、大物を怒らせないように気を付けながら。

鈴木月瑠はゆっくりと口を開いた。「木下に助手を任せる」

これを聞いて、木下院長がまだ反応する前に、弓永院長は転びそうになった。

「木...木下って誰のことですか？」弓永院長は訳が分からない様子だった。

「もちろん私のことよ、あなたのことじゃないでしょう？」