第500章 一番言うことを聞かない馬

「技術が良くないなら、恥をさらすのはやめなさい」中村少華は荒々しくタバコの吸い殻を踏み消し、遠藤音美を横目で見ながら、暗い表情を浮かべた。

遠藤音美は散らばった髪を耳の後ろにかけ、優雅に笑った。「中村次男の若様のおっしゃる通りです。鈴木月瑠さんが乗馬を知らないのなら、やめておきましょう」

中村少華:「……」

池田ふうたは目を細めて笑った。「乗馬と言えば、栗本寧が一番だったな」

案の定、栗本寧の名前を聞いた遠藤音美の目が沈んだ。そして笑いながら言った。「栗本寧はもう亡くなっています。故人の安らかな眠りを妨げないようにしましょう」

松本旻は唇を上げて笑い、わざと純粋そうに言った。「競馬は男が出場した方が面白い。女の子じゃ迫力が足りないよ」

それを聞いて、鈴木月瑠は冷ややかに松本旻を一瞥し、その目の奥には暗い色が宿り、眉には僅かな険しさが見えた。